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◆INGAD(A.ドゥビスキー) 初期ビンテージライターで必ず紹介されるDUBSKI(ドゥブスキー)親子。
1912年、ウィーン市で最初にライター製造に特化した工場を設立。
1920〜1930年代、大きな影響力を持って開発製造を担うことになったオーストリア・ライター界のパイオニアでした。
◇KARAT(1937年)/KARAT99
◇GENT-(1940年頃) |
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KARAT-INGAD社/AUSTRIA |
◇1910年に画期的でユニークなポケットライターを作った父(S.Dubsky)は当時、70歳を超えたたたき上げ金属加工職人でした。
引き継いだ息子Arthurは(当時の金属加工業界では珍しかった)技術高等学校卒で、(ドクターの資格と同じように名前の前に"INGENIEUR",略称 ING.を付けて呼ぶ・呼ばれるので)、1920年代にエンジニア・アルトゥア・ドゥブスキーの名前の"ING.ARTHUR
DUBSKI, WIEN"(略称、イニシアルから"INGAT"=インガット)社を立ち上げ、戦前の欧州最大規模ライター製造会社に発展させます。
ユニークなライター製造、輸出向け製造も多く、残された広告やパッケージデザインを見ても、他のライター製造社とは格段の違いがあります。
しかしながら、です。
この会社もまた、ヒトラードイツのオーストリア併合(1938年)で被害を被ります(下に記載)。
◇掲載のライターは、1920年代後半よりウィーンのライター製造社が競い合って開発した『ワン・アクション=1プッシュでキャップ開・着火・キャップ閉』作動完結の、サイドプッシュ式。1930年代、1940年代のライターの主流となったモデルです。
サイズ:5.2(H)x3.5(W)x1.0(D)cm
◇特長:
サイドプッシュ式、オートマチック(=キャップ自動開閉)
オイルタンクは内蔵型ではなく、分離型(取り外し可能)
オイル注入は(底部から注入するのではなく、ウィック部からオイルを入れます。
底面のネジは、フリント(交換)を支えるスプリングです。 |
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VTG-KARAT(ブラス,KARAT
WERK WIEN)
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VTG-KARAT(ブラス&スチール,KARAT
WERK WIEN) |
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刻印各種 |
VTG-KARAT(スチール,ニッケルメッキ,USPAT.AUSTRIA) |
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米国ブラッドフォードの刻印! ZIPPO社の所在地と同じ |
VTG-KARAT(スチール,ニッケルメッキ、塗装,USPAT.AUSTRIA) |
◎プッシュバトン部刻印:
上2点:1945年終戦後すぐの時期:ドイツ占領下での経営陣の操業は終了し、占領前の戻された模様です。
このため、INGAD社名を改め、カラットウェルク・メタル&プラスチック製品製作所"KARAT-Werk, Metall- und
Plastikwarenfabrik"にして再出発しています。 国名が定まっていなかったので、刻印はドイツ語のウィーン(WIEN)のみ,"KARAT
WERK WIEN"。 下2点:1945年終戦後すぐの時期:"USPAT
AUSTRIA",併合(1938年)前と同様の刻印。 当時から"MADE IN AUSTRIA"刻印をなくしていた。
◎米国製のCOLONELのプッシュバトン刻印:
ライターはINGAD社1937/8年のコロネル(COLONEL)で、製造社刻印が米国ブラッドフォード(ZIPPO本社所在地),PA のNEW METHOD
CO.社になっている。 戦後すぐに、米国でライセンス製造されるようになっていた模様です。 |
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<1937年ウィーン国際見本市でのイタリア語パンフレット> |
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◇下左の1937年イタリア人向けパンフレットの下1段で掲載されていたアイテム;
STANDARD):1910年のREVOLTと同時に作られていた、父Seligmann Dubsky(SD)作 AD):1920年代の(息子、オーナー代表)Arthur
Dubsky作、以降全てArthur Dubskyの担当アイテム
GENT,UNIGENT):1937年、サイドプッシュのワンアクション、タンク部、底面より注入内蔵型
COLONEL):1937年新作KARAT(下図)と同じシステムの形状違い、タンク分離型タイプ 注:上のバトン部の刻印、NEW METHOD
CO/BRADFORD,FA のモデル DUXI):外観が少し異なりますが、システムと形状は下に掲載のKARAT99と同じ
『世界的に有名な点火器・職人技・人気価格』、見本市にきたイタリア人用のパンフレット。 |
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1937年ウィーンの国際見本市、 イタリア語パンフレット、この下段
に上のライター図が掲載されてる |
ウィーン市にあったINGAT社、 左の図はライターのみの工場 を強調したイラスト図(笑) |
◇参考:1938〜40年頃のINGAD社ライター工場での製造模様を撮影した英国人のフィルムです。
徴兵動員のためか、小規模。工員さんは女性婦人が大半です。
http://www.britishpathe.com/video/gerate-des-alltags-das-feurzeug/query/lighter
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GENT/1938-1940年頃 |
◇"GENT"は、上に掲載の1937年見本市パンフに掲載されている1930年代の初めのもの。
オイル・タンク内蔵型のサイドプッシュ着火式です。
一見、観光地のお土産ライター風ですが、メッシング(真鍮)板張りは、ヒットラーの山荘であり、総統大本営のあったBERCHTESGARDEN(ベルヒテスガーデン)村の風景。
「ナチスの聖地」のライターを見せられれば、一般人はかなりビビったんじゃないかと思います。
1938年のヒットラーによるオーストリア併合後の製造品のためか、MADE IN AUSTRIAの刻印は無く、裏面の上部に小さく"PATENT AD(ARTHUR
DUBSKY"(=INGAD社オーナー社長)"刻印されています。 |
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VTG-GENT(ヒットラー山荘の村風景) |
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KARAT99/ MADE IN AUSTRIA |
◇上に掲載のKARAT、長方形モデル。バトン部刻印は、"MADE IN
AUSTRIA"。1955年の新オーストリア国と同じ頃に製造されたモノのようです。 オイルタンクの面にオイル注入用の開閉式ウィンドウが設けられています。
サイズ:6.0(H)x3.0(W)x1.0(D)cm |
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VTG-KARAT99(スチール、ニッケルメッキ) |
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KARAT(1937年) /ZENITH(ドイツ占領1938年) |
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当時のKARATパッケージ |
ドイツに併合(1938年)後の主要ブランド 会社名はそのまま、変更されていない。 |
◎オーストリア併合(1938年)後のナチス政権時代 元々、父(初代)のS.Dubsky(ドゥブスキー)は、オーストリア帝国下のチェコ(人)出身者で、ウィーン市に移ってきたメタル金属加工職人でした。
父も息子(A.ドゥビスキー)ももちろんオーストリア国籍ですが、ナチス政権下では非「ドイツ人」なので、会社工場の所有権、経営を外されました。
A.カウフマン(別ページ)のように国外追放はされませんでしたが、実質的に何も出来ない状況に置かれていたようです。 そして、ナチス政権占領下、"MADE IN
GERMANY"のゼニス(ZENITH)ブランド名のライターを製造販売します。 しかし、興味深い事ですが、会社名"ING.ARTHUR DUBSKI,
WIEN"自体は変更されませんでした。
多分に、この会社名が欧米のディーラー、問屋得意先に知られた存在だったため、外貨獲得を含め、変えないのが得策だの判断があったようです。
終戦後、元に戻された形の"ING.ARTHUR
DUBSKI, WIEN"社は、すぐに(悪夢の時代を消し去るためか)会社名を改名・変更しています。 |
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INGAD社・ドゥブスキー親子時代の広告 |
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1941年、INGAD社の請求明細書ヘッド、「ライター専門」製造を強調 |
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(1)1912年 |
(2)紙箱 |
(3)米国の店頭ディスプレイ |
(1)S.Dubsky(ドゥブスキー父)の時代の広告、「金属加工工場で、ライターに特化した製造会社」と記載。
商品名はRevolt(レボルト)、Record(レコード)。レボルトは、5年後の1917年ロシア革命(=Revolution)もあり、流行っていた言葉だったようです。「レコード」も英語で欧米圏で分かる名称を使っている。
この頃はまだ電話が普及しておらず、TELがない。 住所は、ウィーン14区メルツ通りで、上のINGAD社住所と同じ。
(2)ライターの紙パッケージ。INGAD社キャラ&ロゴを採用している。
(3)米国の店頭でのディスプレイ紙パネル。KARAT"2",完全オートマチックを強調している。 |
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第2次世界大戦独軍兵士ライター |
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「砂漠の狼」と呼ばれたロンメル司令官のアフリカ装甲軍の兵士が使っていたライター。 |
右側はドイツ空軍部隊用ライター。陸軍用より少し大きい(長い)サイズ。 |
▼AUSTRIAライター ヒストリー |
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ビンテージライター/AUSTRIA&EURO |
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A.カウフマン1930年代 |
INGAD(A.ドゥブスキー)1930/40 |
ドイツオーストア他 |
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イムコ(1960〜1990年) |
イムコ TRIPLEX(1937年) |
イムコ
TRIPLEX SUPER |
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